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ALL MY LOVE IS FOR YOU

第4章 Back To December【銀白】





「本当に久しぶり~」「会いたかったの」などうわ言のように繰り返している。
確かに俺も久しぶりだと思うし、会いたかった…とも思う。
だが、そこまでか?と疑問が募る。

「私が奢る!どうせ、そんなに持ってないんでしょ」
「なっ…」
「好きなもの頼んでね!」

冴の言う通りで、反論のしようがなかったので黙った。
そこからたわいのない話をした。互いの近況やら、仲間の様子など。
冴は終始笑顔で楽しそうだった。

「でね、月麿さん。私、月麿さんにずっと言いたかったことがあるの。」

先程までの笑顔とは打って変わって、真剣な顔つきになり真っ直ぐな目で俺を射抜いた。
俺はその純粋すぎる目に耐えきれなくなり、逸らしてしまった。
何だかわからないが、嫌な予感がした。

「私…私ね、月麿さんが好きなの」

嫌な予感が的中した。これで全ての謎が解けた。
俺に会いたがっていた理由も、笑顔だった理由も。
だが、俺は残酷な人間だ。

「すまない…冴…俺は…お前の気持ちには答えられない。」

そう答えたとき、冴は一瞬だけ傷ついた顔をした。が、すぐに笑顔に戻った。

「そっかぁ~ごめん!急に変な事言ってぇ…」

冴は鞄から財布を取り出し、代金を机に置いた。

「悪いけどこれ、出しておいて。私は帰るから」
「おい、冴…」
「じゃあね!バイバイ!!」

彼女を見たのはこれが最後。





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