テキストサイズ

ALL MY LOVE IS FOR YOU

第4章 Back To December【銀白】





それから俺は冴が気になり、この地へ残った。
必死に探したが、見つからなかった。
もしかしたら故郷へ帰っているのではないかもしれない。
暫く、気分が悪い日々が続いた。
そんなとき、走に出くわした。
久々の再会に走は心底喜んでいたが、俺は素直に喜べなかった。
冴のことが気がかりで仕方なかった。
しかし、2人で昔話に盛り上がっていたときだった。

「そういや突然、冴と連絡がつかなくなったんだよなぁ。最近まで東京に遊びに来ているって聞いてたけど…もしかしたら鹿児島に帰ったのかなぁ?」

頭を殴られるほどの衝撃だった。

「そ、それは…いつからだっ!?」
「え…?12月に入ってすぐくらいからかな?それまでは頻繁にではないけど一応、連絡は取り合ってたから…」

俺の焦りようを見た走に「月麿、何か知ってんの?」と言われたが言葉を濁した。知ってるも何も。
師走に入りすぐ俺達は会ったのだ。
まさかあの日を境に…?血の気が引く。
その後、走と別れまたいつもの日々に戻ったが、そこからは後悔の念に押し潰されそうになった。
あの日、俺が冴の気持ちに答えていればいなくならなかったのか?
俺は何て最低な人間なんだ。これだけ必死になるということはもう答えは出ているではないか。
俺は怖かった。その真っ直ぐな気持ちに答えるのが。
自分が臆病で弱かったからこんなことになってしまったのだ。
どれだけ後悔したって、もう遅い。
彼女の苦しげな表情が目に焼き付いて離れない。











-今年も師走がやってくる。

冴。もしまたお前に会えたならきちんと謝罪をさせてほしい。

そしてお前と同じ気持ちだと言うことを伝えたい。



エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ