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ALL MY LOVE IS FOR YOU

第2章 OH!【赤白】





「本当にホワイトはよく頑張ってるよなぁ~!」

走は冴の頭を優しく撫でた。
きっと彼の勤務している動物病院の常連客が見れば大変なことになるだろう。
冴も気持ちよさそうに目を細め「ありがとう」と返すが、内心はムッとしていた。
この頭ポンポンは私の求めている頭ポンポンじゃない。
きっとレッドは私のこと''可愛い妹''ぐらいにしか思ってないんだ。
冴は走が加入したときからずっと気になっていた。
最初は慣れないことばかりにかなり苦戦していたが、今では岳も認めるほど戦士として成長していた。
教えることが多かったのに今では教わることの方が多い。
そんな走に淡い気持ちを抱いていたのだ。
オルグに獣皇剣を盗まれてきたときもからかいはしなかったもののもはや赤ちゃんのような慰め方をされたものだ。
髪の毛をセットしてメイクを頑張ってみても走は気付きもしない。
努力が足りないのかな?私、もっと強くなって自分磨きしてレッドを振り向かせてみるんだ…!

「それは無理なんじゃねーの?」

突然、心の中の独り言に介入されたため慌てて意識を現実に戻す。
後ろを振り返ると岳が呆れた顔で冴を見ていた。

「え?イエローなんで…!?」
「全部口に出てんだよ」
「嘘ぉぉぉぉ!?」

咄嗟に口を塞ぐが時すでに遅しである。

「そういうとこだよ、お前がお嬢ちゃん扱いされるのはよォ」
「またお嬢ちゃんって言ったわね!今度言ったら邪気退散してやるんだからっ!」
「おうおう、出来るもんならやってみな、お嬢ちゃん。」
「むぅ〜!!このぉ~!!」

岳に掴みかかろうとするが呆気なく交わされてしまう。

「あぁっ!交わさないで!」
「いや、交わさない馬鹿なんかいるかよ、お嬢ちゃん。」
「もぉぉぉぉぉ!!絶対に許さないんだからぁぁぁ!!」

完全に遊ばれていることに気付いていない冴。
暫く追いかけっこをしているとドタバタとした音が聞こえたのか走が自室から飛び出してきた。

「こらっ!2人共喧嘩しないの!」
「は?俺はこいつに一方的な…」
「イエローも大人気ないぞ!年下の女の子をからかってさぁ!」
「はいはい、すみませんでした。俺が悪ぅございやしたぁ。」

レッドはいちいち本気になりすぎなんだよ…とぼやきながら岳は自室へと戻っていった。


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