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オキナグサ

第5章 お付き合い


何そんな、焦ったような顔して


「いいよ。前に二回も奢ってもらってるしね」


それにあそこ別に高くない
1人千円ぐらいならなんともない

むしろあのでかいホテルのレストランいくらしたんだって


「そう、か? ありがとう。ご馳走様でした」
「どういたしまして」


こういう時に急にしおらしくなる感じ、可愛いよね


「さて、なんか買い物してから朝陽さんち行く?」
「食品は買ってあるんだが、酒とか飲むなら買って行こう」
「ちょっと飲みたいなー。いい?」
「構わない」


じゃあ買い出しに行こう、と駅の1階に入ってるスーパーに向かって歩き出した
その時


「……っ」
「あれ、朝陽?」


朝陽さんの名前を呼びながら、男がこっちに歩み寄って来た


誰、この男


「朝陽だよな? うわー久しぶり」
「……久し、ぶり……」
「なんだよ他人行儀だな。俺こと忘れちゃった?」
「忘れるわけないだろ」


俺こういう会話嫌い

話しかけて来たこの男がどんなにいい人でも
隣にいる俺のこと無視してる
俺のものに近づくなって牽制されてる

そんな考えが湧き出て来るから

きっとそんなことないんだろうなんてこと、わかってるけど

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