テキストサイズ

オキナグサ

第5章 お付き合い


その驚いた顔はどっち?

俺との別れを惜しんでくれてる?
それとも、解放されるって喜んでる?


じっと見つめた先の朝陽さんが緩く首を振った


「ちが……違うんだ。確かにあいつがゲイになっていたことには驚いた。驚いたが……気持ちが再燃したとか、そういうことは全くなくて……ただ……」


ただ、何?


「あいつと……大して親しくもないあいつと一緒にいるのを見られるのが嫌だったんだ……」
「なに、それ」
「聖くんが嫌がりそうな状況になってしまったことに、焦っていたんだ。だから……」


あんな、困った顔だったってこと?


「信じられると思う?」
「……信じて、欲しい……」
「あの人にもう何にも気持ちがないことも?」
「あぁ」


頷いた朝陽さんの目は縋るようで
俺は心の中で

じゃあもう少しだけ

と結論づけた


でもわからないことが1つ


「朝陽さんはさ、どうしてそこまで俺との付き合いを続けようと必死になってくれてるの?」


付き合いだして1週間

俺には短かく感じだけど普通の人なら

すぐメールを返さなきゃいけなくて
電話もいつでも出なきゃいけなくて
常に居場所もスマホで何調べたのかも探られて

そんな状況そんなに続けられない

ストーリーメニュー

TOPTOPへ