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オキナグサ

第6章 違和感


またドタキャン……


約束の日前日や、悪い日には当日になってから断りの電話を入れてくる友人に愛想を尽かさなかったかと言われればそんなことはなく


「朝陽、今度の土曜日さ……」
「……」
「朝陽?」


距離を置いたことだってある

だがそうなる度に恋人がいようといなかろうと駆けつけてくれて、俺のことを甘やかす大地を嫌いにはなれなかった

そんな恋心をぶつけたのは
大学を卒業する直前のこと


流石に就職までは腐れ縁で同じ、ということにはならず離れ離れになるこのタイミングしかないと思った


「俺……大地のことが好きなんだ」


そう告げた俺に、大地は一瞬驚いた顔をして


「…………は? 嘘だろ? 何気持ち悪いこと言ってんだよ」


と言って、笑った


ずっとずっと隠してきた思いを
打ち明けた

それをこんなにも簡単に跳ね返されるなんて


大きなショックを受けた俺は、自分は何者にも受け入れられることのない世界中でたった1人の存在

そんな気がした


男が男を好きになるなんておかしい
世界中で俺だけ
俺だけがこんなにおかしくて、醜い思いを抱いてるんだって


そんなことはないなんてわかってる
それでも、周りにそんな人間がいなければ、1人ぼっちも同然だった

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