甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第1章 プロローグ
「さぁ、詩音莉。今日も俺にお前の体と極上な血を捧げろ。」
私は惹き付けられるように、着ていた服を脱いで彼の前に立つ。
彼の紅い瞳を見つめ、私はそのまま彼の腕の中に吸い込まれていくんだ。
彼に言われるがまま。
「あぁっ…紫艶!」
彼の牙が私の柔らかな首筋にザクッと刺さる。
痺れるような、それでいて、甘く疼く甘美な快感が私の体を駆け抜けていく。
気持ちいい…。
ドクドクと流れていく私の血液。
生温かい血液が首筋を伝う。
私はこの瞬間に一番の幸せを感じる。
だって貴方は私を必要としているから…。
私の血液が貴方の生きていく餌になり、貴方の体に入っていくのだから…。
私にとっては、究極の愛の行為が、吸血行為なのだから。
そう、わかってる。
貴方にとって私はただの…
餌でしかないって事。