甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第4章 再会
海であの人に逢ってから、2ヶ月が過ぎた。
何度か同じ時間に海へ行ったけど、あの人には一度も逢えていない。
そんな状態に私には、少しずつ諦めの気持ちが芽生えてきていた。
そして、あの日の出来事は、幻だったのではないか?と思い始めていた。
もう逢える事のない人。
自分の中では、あの日の出来事は夢だったんだと、思うようにしていたのに。
再会は思わぬ所で、突然にやってきたのだ。
その日私は、職場近くにあるオシャレなbarで、バンドメンバーと、イベントに参加していた。
いつもとは違い、静かな大人な曲をしっとりと歌っていた。
お酒を呑みながら、お客様も静かにこちらの歌に、耳を傾けてくれていた。