甘美な吸血〜貴方の餌になりたい〜
第6章 昼と夜
「何だ?何が不満だ?」
さっきまでの甘い雰囲気を壊した私に、今度は紫艶が不機嫌になる。
「ごめんなさい…私…。」
「人間の愛だの恋だの、そういう感情が面倒で仕方ない。俺にはそんなものは、必要ない。俺が好きなら、お前はその体も血も俺に差し出せばいいんだ。深く考える必要はない。ただ、それだけだ。」
ズキッ…
紫艶の言葉が鋭いナイフのように、私の胸に突き刺さる。
そうだ、この人は人間ではないんだ。
自分の餌になる人がいればそれでいい。
恋愛なんてする相手はいらないんだ。
突き付けられた悲しい言葉に、私は何も言えなくなってしまった。
そんな私にハァーと深いため息をついた紫艶が、長い腕を伸ばして、私を抱き締めた。
「黙って俺に抱かれればいい。何も考えず俺の物になればいい。」