
好きにさせて
第14章 結婚
それから茜は
ほとんど喋らず
俺の問いに
返事をするだけ
けどとりあえず
このままやったら
風邪ひく
俺は駐車場で
茜の白いダウンを脱がせて
助手席に乗せると
自分も上着を脱いで車に乗り
急いでエンジンをかけた
それから
ナビで近くのホテルを
検索すると
5分も走れば
ラブホがあるのを見つけた
「茜、ここで休憩していこ。
このままやったら風邪ひく」
そう言うと
茜は
寒そうに身体を小さくさせたまま
「…うん」
と呟いた
暖房をガンガンにかけ
俺は急いで
そのホテルへ向かい
ホテルに到着すると
濡れた上着と
茜の荷物を持って
車から降りた
「大丈夫か?」
「…うん…」
震える茜の手を握りしめたまま
部屋に入ると
茜をベットに座らせて
暖房をきかせ
俺は風呂場へと向かった
早う
茜を温めてやらんと…
マジで
冷えてもうてる
熱い湯をバスタブに溜めながら
濡れた服を脱ぎ捨て
バスローブを羽織ると
この俺でも
ふーっ…と
長い息が漏れるほど寒い
それからすぐに
茜の元に戻り
「脱いだ方がええ」
ただそれだけ伝えると
有無を言わせず
茜の服を脱がせ
バスローブで茜を包むと同時に
俺は
茜を思い切り抱きしめた
「茜…」
「……」
茜は
ガタガタと身体を震わせ
俺に手を回すことなく
ただただ
俺に
抱きしめられていた
なんも喋らへんし
顔色も悪い
なんやまるで
人形みたいやな…
