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好きにさせて

第14章 結婚

黙ったまま
俺の話を聞いてくれてる
茜の手を握ると

茜が

ぎゅっと

うつむいたまま
俺の手を握り返した


「好きやで、茜」


「……」



「せやから
もっともっと
色んなこと話さなあかんし
思うてること
伝えんとあかんて思うんや。


正直にな。


そんで
あんなこと言うてしもうたんや。


俺も苦しい。

茜と同じように
悲しいし悔しいんや…て」



そこで茜はまた
俺の手を
強く握った



「なんでそない苦しいか
分かるか?」



茜は
うつむいたまま
小さく首を振った



「茜とこの先
ずっと死ぬまで
一緒におることしか
俺は考えてないからや。

子供のおらん人生も
親になれへんかもしれん人生も
二人きりで
ずっと過ごす人生も
当たり前のように
俺は想定してる。

まだ茜は
最後まで一緒に生きる
パートナーに
俺を選んでくれてないかもしれへんけど
俺はもう茜を選んでるし
茜以外には
考えられへん。


せやから

もう俺の中では
茜ひとりの問題やのうて
俺と茜の問題に
なってんねん」



茜が
少し顔を上げ

茜が
唇を噛み締めているのが
わかった



「俺も悩むし
苦しい時もある。

人間は弱いもんやからな…


せやから
一人で背負い込まんと
二人で悩んだらええんと違うか?


何でも二人で話して

泣くんも
二人で

悔しくて
酒飲むんも二人


ほんで


二人きりを
楽しむんも

二人や」


そこまで伝えて
茜の柔らかな髪を撫でると

茜が
ゆっくりと顔を上げ

涙がいっぱい溜まった瞳で
俺を見つめた



「私は…



私はこんな身体で

…っ…私なんか…」


「茜」


俺は
茜のその言葉を
遮るようにして
話を続けた


「茜が責任を感じることはないんや。


俺が
それを選択した。

俺が全部分かってて
この世の女の中から
茜を選んだんや。

せやから
何があっても
責任は俺にある。


せやろ?


俺な…

茜と泣いて
喧嘩して苦しんでも

やっぱり
俺を選んで良かったと
茜に思うてもらう人生に
したいんや。


俺の気持ち

わかってくれるか?」

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