
好きにさせて
第14章 結婚
「茜は…
昔から頼るのが苦手やろ?
一人で我慢すんのが癖で
なかなか本音を言わへん。
中学の頃は
子供やったからなぁ
茜の嘘や強がりは
俺、結構見抜いてたんやで?
せやけど大人になって
色んな経験して
茜、誤魔化すん
上手なっててな…(苦笑)
俺、茜のこと
うまいこと助けられへんなってしもうてたわ」
「・・・・」
「子供ができんことは分かった。
話してくれて嬉しかったで?
けどな
茜の気持ちは
だんだんわからんように
なってもうてな…
今日、動物園で
可愛らしい子供がおったやろ?
そういう時
茜はどう思うてんねやろな…って
思うねん。
けど
茜も俺も
その時の気持ちを
言葉にはせぇへん。
相手がどう思うてるかも
聞かへん。
なんでや思う?」
「・・・・・」
「お互いがお互いを
気い使うてんのやろな…
俺はとにかく
茜が悲しまんように
どうしたらええやろって
そればっかり考えててな
そしたらだんだん
何も言えんなってもうたんや
茜もそうやないか?
どう振舞うたら
俺が心配せんやろうか
そればっかり
考えてんのやないか?
もちろん
それは悪いことやない思うで?
けどな
それだけやあかんと
思うんや」
