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ネコニャー

第1章 ネコニャー〜シーン2〜

さっちゃんは和子おばさん家から引き取ったネコに漫画のキャラクターにちなんで《ネコニャー》と名づけた。ネコニャーは母猫や兄弟と離されたせいか、とても落ち着きがなく窓の外を見て激しく鳴きわめき、外へ出ようとして窓の冊子を爪で傷つけたり部屋中を勢いよく走り回った。また最初の三日間はご飯を口にしなかった。和子おばさん家から持ってきた袋に半分残ったキャットフードを与えたけどそれさえ口にしなかった。それから部屋の何ヵ所かにオシッコをした。“自分のオシッコの匂いがする所をネコはトイレにするからきちんとトイレでオシッコをさす事を覚えさすの。その時、オシッコをした後、匂いの残った砂を残しておく事。それから絶対怒っちゃダメよ。警戒心が強くなるから”。和子おばさんの忠告を守りながら接するとネコニャーはトイレでオシッコをする事をすぐに覚えた。ネコ用のトイレは、ホームセンターでハーフドーム型のトイレを購入した。最初は友達の家で見た普通の一般的なネコ型トイレを買おうと考えたが、トイレがすんだ後の砂隠しの時、周りに砂が飛び散る可能性もあると考えてフェンスガード付きのハーフドーム型のトイレにした。値段も一般トイレより少し高かった。

二週間が過ぎると、随分落ち着き一晩中鳴く事もなく窓の冊子を爪で引っ掻く事もなくなった。それから自分の方からすりよってきて甘える姿も見せるようになった。”私達を認めてくれたのかな。これでネコニャーも家族の一員だ“そう思った時、さっちゃんの瞳から大粒の涙がこぼれた。そしてさっちゃんはネコニャーをぎゅっと強く抱きしめた。

ネコニャーが来て二度目の日曜日、初めてネコニャーを家の外へ連れだした。久しぶりに外の空気を吸えたのが嬉しかったのかネコニャーはピョンピョンと飛び跳ねるように庭を駆け回った。花壇に植えてあるロベリアの花に自分の鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅いだり、花壇のブロックに口元をすり寄せる仕草が見られた。

家の中にいる時は居間のソファーやテーブルの下が気に入ったようだ。外にいる時は楓の木の上にいる姿が見られた。天気のいい日は首輪に付いている金色の鈴が太陽の光りを受けて光っていた。この首輪もホームセンターでトイレと一緒に購入したものだ。首輪を付ける時、ネコニャーはいやいやと首を横に振った。多分、凄く恐ろしい事をされると思ったのかもしれない。

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