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I'm In Love With The HERO

第5章 Better Than Revenge【赤黄←桃】






気付いたきっかけは、夜遅くにサロンに忘れ物をしたのに気付き、慌てて取りに行ったときのこと。

「チーフのお部屋に行ってもいい?」

ドアを開けようとしたとき、甘えた菜月の声がした。
金縛りに遭ったかのように体が動かなかった。
やめて、その先は聞きたくない。

「嗚呼、いいぞ。」
「やったぁ!チーフ大好き!」

私は石のように重くなった足を半ば引きずりながら自室に帰った。
別に不埒な意味合いじゃない可能性も高い。あの2人だし。
でも、あの状況を聞いてしまった以上2人が男女の関係なのは確かだ。
こんなことが起こるなんて思ってもいなかったし、考えたことすらなかった。
あの人が、チーフが。冒険以外に興味を示すなんて。
許されない。チーフが冒険以外を愛してはならない。
それに、相手は菜月だなんて。完全に菜月を見くびっていた。
しかも、菜月は私がチーフに対して仲間以上の気持ちを抱いていることを知ってるはず。
そこから私は2人を普通の目で見られなくなった。
私の中に闇より深いどす黒い感情が湧き始めていた。





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