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桜花楼の恋

第1章 始めの一歩

番頭「見たかったら覗いてもいいぞ」



何を?



番頭「ほら聞こえるだろ声が」



そう言われ初めて俺はそのなめかましい息遣いに気づく。

これって、まさか!とたん心臓がドキッと震えた。



番頭「そう日を経たずしてお前も同じことをするようになる」

北「‥‥っ」



怪しい笑みを浮かべ部屋を出て行く番頭 (見るか、んなもん)

しかし、声はどんどん大きくなっていき。



戸「ふっ、あぁ、んっいっあぁーっ」



無意識に身体が自然と動いてしまい、とたん視界の中に飛び込んで来た光景に。

俺は、まるで金縛りにでも遭ったかのように固まってしまったんだ。



戸「はっあっ、うっああ」



羽織っている着物は殆どはだけ、裸体に近い状態で妖しく乱れているその姿は。



戸「んあっ、いっ、あぁ」



同じ男とは思えないくらいの色香を漂わせ、眼を奪われてしまうほどに美しく。



戸「くっあっ、はっ」



あいつ俺と大して歳、変わらないじゃん。



河「トッツー、クッ」



そして、絡みついている男もまた。



戸「かっ、河合、もっ、イッちゃう、ハァハァハァ」

河「いいぜ俺も出す」



男同士でやるのって、こんなにすげぇのか。

これが初めて俺がトッツーと河合に出会ったときの事だった

2人で交わす接吻は、さながら本当に惚れ合っているみたいに激しく熱烈で。

と、そのとき。



番頭「太夫、戸塚太夫ちょっと宜しいですか?」



あの番頭の声が、部屋の障子の向こうから聞こえて来てよ。



戸「なに?」

番頭「お寛ぎのところ誠に申し訳がありませんが引き合わせたい者がおりましてお時間を頂けないでしょうか?」



つうか、あいつ俺のときとは全然 言葉遣いが違うじゃん。



戸「分かった待って今 身支度をするから」

番頭「河合の若旦那もご一緒に」

河「いいのか?」

番頭「はい新参者ですが目の保養にでもなさって下さい」

河「おう、ニコッ」



それから数分後、再び俺は番頭に呼ばれ隣の部屋へと連れて行かれて。

が、既に情事の後はなく一段高くなっている場所で戸塚太夫は。

綺麗な着物を羽織り、ニコやかに微笑んでいたんだ。

客の河合って奴と2人で。




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