テキストサイズ

桜花楼の恋

第1章 始めの一歩

番頭「今日付けで、新しく入りました 北山宏光という者です」

戸「いくつ?」

番頭「太夫よりは1つ上になりますが全くの素人なんで、いろいろと教えてやってくんなまし」

戸「分かった、ニコッ」



挨拶を済ませると、番頭はさっさと部屋を出て行き後は俺たち3人だけとなる。



河「もしかして隣の部屋で聞いてたのか?」

北「えっ…ぁ‥」

戸「ひゃっ、恥ずかし」



と、さっきとは打って変わり顔を真っ赤にする太夫。

なっ、なんなんだ!?こいつめっちゃ可愛い。



戸「でも河合のときで良かった、フフッ」

河「んっ?」

戸「だって、もし見られてたとしても河合となら」



どういう意味で?



戸「他の奴とだったら俺、きっと凄い顔してたと思うし」

北「‥‥っ」

河「トッツー」

戸「ハッ、ごめん」

河「いいんだ、お前が謝る必要はない」

戸「でっ…でも‥」



この2人。



河「俺が、もっと早く追い込まれてることに気づいていればこんな事にはならなかったのかもしれないし」



前から知り合いだったん?



戸「それは違う河合のせいじゃない親父が博打にさえ手を出さなければ」



マジで、惚れ合ってるってわけ?こんな状況下の中で。

すると、太夫は。



戸「北山これから俺はお前に凄く嫌なことを教えなければならない、クッ」



その顔が苦痛に歪み。



戸「今どんなに不安で怖い気持ちでいるのか一番よく分かっている自分が」

北「だいじょうぶ気にするなって、フッ」

戸「なわけないじゃんそんなわけ」

河「トッツー」

戸「強がんなくていいから平気なやつなんているわけがない…こんな‥こんな事を」

北「おまっ」

戸「俺は河合に救われた、だから何とかこうして頑張っていられるんだ」

北「んだか」



よっぽど辛い目に遭ったんだな。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ