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桜花楼の恋

第13章 恋乱舞い

・北山side

暗闇の中、物音もせず感じる気配。



北「なぁ、もちとなんとかならない?ハァ」



部屋の片隅で、姿勢も崩さず座っている姿に俺は堪らなくなって声をかける。



高田「申し訳ありません」

北「じゃなくて、ハァ」

高田「私のことは気にせず、どうぞお休み下さい」



無理だろ…



北「横尾さんはなんで来れないんで?」

高田「やぼ用とか」

北「はっ?」



女?なわけないよな、ハハッ



北「なぁ?そこでずっと起きてるつもり」

高田「それが役目ゆえ」

北「一緒に寝りゃあいいじゃんよ」

高田「でっ、出来ませぬ!そのような大それた事は」

北「はあっ?」

高田「わっ、若君の大切な方と添い寝など…とっとっ、とんでもない」



ダメだ、こりゃ。

つうか、なに顔を赤くしているんだわ俺とどうこうするわけじゃないだろうに。



高田「とっ、とにかくお休み下さい」



あっそ、もう勝手にしな。

と、そのとき翔の表情が一変し。



高田「庭に誰かいる」



俺の前に、庇うように立ちふさがると。



高田「心配なさらずとも私が護りますゆえ」



おまっ、フッ

ザクザクッ、積もった雪を踏みしめる音が耳に聞こえ確実に俺の部屋へ向かって来ることが分かり。

障子に影が映った、途端に緊張感が漂う中スーッと開いたその視界に飛び込んで来たのは。



高田「…わっ‥若君!?」

北「藤ヶ谷!」



夢でも見ているのか俺?



藤「北…山‥さっ…むい」



バタン!

が、倒れ込んだ姿に慌てて駆け寄ったら。



北「藤ヶ谷、おい」

高田「しっかりなされませ」



ギュッ!



北「冷て!?お前、どこから歩いて来たんで」

藤「うっ…ガクガクッ‥隣の…そのまた‥隣?フッ」

北「んばか凍え死んでしまうだろ」

藤「お前に…会わず‥帰りたく…なかった‥からさ」

北「だからって」



無茶なことを。



藤「でも…雪‥降るなんて予想外…ガクガクッ」

高田「すぐ湯殿へ」

北「あぁ」



それから━



北「落ち着いた?」

藤「あったけぇ、天国だ」

北「ったくお前って奴はマジで」

藤「チュッ」

北「んんっ」



驚くことばかりしやがる、フッ




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