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桜花楼の恋

第13章 恋乱舞い

河「俺もビックリしたわ太輔の名前を出したとたん即座に」



“分かった話しに乗ろう”



河「ずっと心配していたんだと」

戸「知ってたの?北山とのことを」

河「いや、ただ何かあるとは感じていたらしい」

戸「それで」



河合は言う…

手付けの旦那の藤ヶ谷は、尾張にいて北山の傍にいることが出来ない。



河「渉だって、いつまでも江戸にいれるわけじゃないだろうし」



参勤交代でもないのに、たまたまこっちへ来ていたその若君に出会えたのは。

俺達にとって、運としか言いようがない。



戸「横尾はなんて?」

河「あいつは家老の嫡男だ、さすがに他国の若様までは巻き込めなかったんだろう」



確かにね…



戸「反対された?」

河「俺は聞かなかった事にする、そう言ってたよ」

戸「それだけ?」

河「ありがとってさ、ニコッ」



横尾、フッ



戸「で、これから」

河「まずは北山と対面させ」



太夫になるには、それなりのお得意客がつかなければ無理。

俺にだっている、そのときだけは河合も歯を食いしばり。

他の客に、俺が抱かれるのを我慢しているんだ。



戸「出来るの、それで?」



そうでなければ、郭では生きては行けないのが定め。



戸「信じられる?その人達が北山にぜったい手を出さないっていう」

河「侍っていうのは忠誠心の固まりみたいなものだろ」



既に家臣からの信頼も厚く、そう時を待たずして城主の座につくことが約束されている主君の命なら背くことはしないはず。



戸「凄い、凄いや河合」

河「惚れ直した?ニコッ」

戸「うん」



ギュッ!

北山、これなら俺がいなくなっても大丈夫だよね?



北「さっみぃなーやっぱ」



俺は、その肩にそっと頭を乗せ腕に抱きついた。



北「んどうしたんで?」

戸「なんでもない、フッ」



大好きだよ、次の年には郭の外で一緒に初雪が見れたらいいね。

そう、心の中で話しかけつつ。




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