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桜花楼の恋

第18章 いざ尾張へ

・玉森side

亮太と、あの人との情事を目にした日の夜。



玉「そう、そういうこと」



俺は、その想い全てを本人の口から聞いた。



山本「嫌いなわけじゃないんです、けど」



小さい頃から可愛がられ、大好きで兄のように慕っていたこと。

でも、豹変してしまったのは豊臣方だった母親が実は間者で

徳川に探りを入れるために自分を産み落とし、道具にしようと企んでいたことが分かったから。



山本「俺、知っていました」



残党を手引きしたのも、母親の命を盾に取られ仕方なく。

が、その母親も身内を連中に人質として取られやむを得ず。

酷い、酷すぎる人の命をなんだと思っているんだ!クッ

親を殺され絶望の淵に立たされたとき、俺と出会い。



玉「傍に来る?ニコッ」

山本「はい」



血の繋がらない親族の中で、自分を見失わず生きている姿が亮太の心に憧れにも似た慕情を沸き起こし。

えっ、だけどあのとき既に。



山本「忍びの里では男も女も関係なく」



そっ、初めから。

けど、それをあの人は許さなかった。



屋良「俺を敵に回す気か」

山本「違う、そんなんじゃない!もう争いはとうに終わってるんだよ屋良にぃ」

屋良「まだ終わってない」

山本「やっ、嫌あぁーっ」



くっ…

亮太、ボロボロになりながら俺のところへ来てくれたんだね。



山本「あなた様を支えるのが俺の務め」



そうじゃないでしょ?



山本「裕太さまの幸せを見届けるのが、そのクッ」



もういいから無理しなくても、ギュッ!



山本「…裕太‥さま?」

玉「一緒に幸せにならなきゃ意味がない」

山本「‥‥っ」

玉「亮太も一緒に、ニコッ」

山本「ぁ…ヒクッ‥うあっ」



俺を支えにしなくちゃ生きては来れなかったんだよね、親を仲間を失い。

大好きな人に心を砕かれ夢も希望もなくしかけたとき、その瞳の中で俺は光りに見えたから。

ガヤと似ている━



山「それが…ヒックッ‥あなた様の器なのです」



俺の…器‥




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