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桜花楼の恋

第19章 優しさと温もり

藤「聞いたよ、お前ら とうとう」

宮「はい、やはり気持ちは抑えられませんでした」

藤「いいんじゃないの、それで」



にしては健永のやつ…



千「へへーんガヤさんの匂いだぁ、ムギュぅ」



ぜんぜん変わってないじゃん。



宮「千ちゃんはこれでいいんです」



確かに、急に大人ぶったらその方が頭が変になったのかと心配になる。



屋良「尾張の若君、太輔か」

藤「お前が屋良朝幸」

屋良「そうだ」

藤「亮太のことは聞いた、こいつを幸せにしてやってくれ」



そう言って頭を下げると、屋良は驚いた表情を見せ。



屋良「お前には武士、徳川家御三家筆頭としての誇りはないのか隠れ忍び、それも豊臣の」

藤「誇りってなに?徳川?御三家?大名、武士?ふっ」

屋良「なっ」

藤「くだらない、そんなものより人としての誇り温かさ惚れた奴や仲間を助け護り大切にすることの方がよっぽど大事だ」

屋良「お前」

藤「そういう誇りなら俺は誰にも負けない」



と、そのとき。



塚「塚田僚一見参、キーン」



カーン

いきなり現れた塚ちゃんに、俺も応えるかのように刃を合わせる。



千「うわっ、何やっているの塚ちゃん」

宮「いいから見ててごらん」



バシッ!



藤「随分と手荒い再会の仕方をしてくれるじゃん」

塚「藤ヶ谷の刃を受けてみたくなった」

藤「で、どう」

塚「惚れ直した、もぉ最高さっすがぁーあははは」

藤「ぷっ、クククッ」



やってくれるぜ、ったくわざとだろ。



屋良「驚いたやつ」

山本「屋良にぃ」

屋良「益々興味が沸いた」

藤「亮太」

山本「はい」

藤「女といえ忍びは忍び嫁ぐ日までしっかりタマを護るんだぞ」

山本「とうに承知のうえ」

藤「それでいい」

山本「有り難うございます」



皆が幸せになってくれれば、それで。



藤「一緒に来いよ」

屋良「‥‥っ」

藤「俺の生き様、傍で見せてやる」



そう思ったからそうした、命を狙われる危険?ないさ眼を見れば分かる。

こいつがマジで亮太に惚れている事が、だから悲しませるような事はしないはず。

そうだろ北山?

もうすぐあいつに会える、この尾張で。

澄み切った空の中、全ては決着へと向かいつつあった。

仲間たちの想いと共に…




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