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桜花楼の恋

第19章 優しさと温もり

・戸塚side

加賀の屋敷の一番奥の部屋で、俺は北山の着替えを手伝っていた。



北「ちょ苦しいって、もちっと緩めてくんね」

戸「我慢して、まだ何枚も着なければならないんだから」

北「ちっ」



しかし、大名のお姫さんっていうのも大変だな。



北「うえっ、クッ」



俺たち男娼、太夫も確かに似たようなものを着るけどこんなにも重ね着はしない。

まぁ元は男だし、フッ



北「うあっ」

戸「もう少しの辛抱、後は帯をしめた上にこれを羽織れば終わりだから」

北「…嘘‥つけ…ハァ」

戸「んっ?ぁ…」



あれもあった、アハッ



戸「よし出来た、はい北山 頭に乗せて」

北「んなんだ、これ!?めっちゃ重い」

戸「仕方ないよ、かなりの髪の量で作ったカツラだもん」



宮田一座特製の。



北「あり得ないマジで」

戸「でも綺麗にできたよ」

北「なわけないわ」

戸「本当だって」

北「ふんっ」

戸「クスッ」



赤い着物がよく似合ってる、藤ヶ谷が見たら卒倒し倒れちゃうかもしれないね。

と、そのとき。



亀「もう開けてもいいか」

戸「どうぞ」



加賀の若君、それから河合や五関、横尾、ハッシーが入って来て。



河「うおっ、すっげぇ!?」

橋「宏光、可愛い」

五「でも重そうなカツラだなぁ、ハハッ」

北「重いって実際に」

横「ふーん化けたもんだね」

北「はっ?」

亀「ぷっ、クククッ」

北「笑うな!クッ」

亀「いや渉も、もう少し気の利いた言葉をかけてやればいいのにと思ってさ」



照れてるんじゃない?



横「たっ、太夫お披露目のときもこんな感じだったのか」



ほら、クスッ



五「んーちょっと雰囲気が違うかな」

河「あっちの方が薄着?」

橋「けど綺麗だったね」

戸「うん、ニコッ」

横「前髪が下りてるのは」

北「さっ、触るんじゃねぇ支えてるの大変なんだからよ」

横「わっ、悪い」

亀「クククッ それは、宮田の趣味らしい」

横「んっ?」

戸「北山は前髪を下ろした方が絶対に可愛いって」

横「確かに」



あっ、認めちゃった フフッ




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