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桜花楼の恋

第19章 優しさと温もり

・北山side

しずしずと廊下を歩き屋敷の外へ向かうと、自分が乗る篭のすぐ傍に。

んっ?

かしこまっている、1人の若侍の姿があった。



横「そこの者、構わぬ面を上げ」



横尾さんが言葉を掛けたら、見上げた顔は。

ニカ!



ニ「ニコッ」

北「ふっ」



そうか許して貰えたんだ、その姿を見て河合や五関・トッツー・ハッシーの顔もほころぶ。



ニ「姫君さま、さっどうぞお篭へ」

北「コクン」



これで、全員が揃った。

既に尾張には、タマや宮田・千賀に塚ちゃんまでいる事は翔を伝って忍び仲間から報告を受けている。



河「しゅっぱーつ」



ザザッ!



「下にぃ下に下にぃ下に」



江戸の町に出れば、多くの人々が見送るかの如く道にひれ伏していて。

あっ、河合の店だ。



福「ご武運をお祈り致しております」

辰「無事、成し遂げられますよう」



ありがとな、フッ

龍也と瑞希を挟み、礼をする2人の姿が見え先へ行けば松崎・越岡・江田の3人。

そして、何故だかその近くに。



番頭「宏光お前なら大丈夫だ頑張れ」



旦那はいなかったが、それぞれの瞳の中に込められた自分への思い。

それを噛みしめながら俺は、感慨深く感謝の気持ちを胸の中で呟いていたんだ。

忘れない、お前らのことを絶対。

独りでは、ここまで歩いて来れなかった苦難の道のり。

人と出会い心に接し、触れ合うことが出来たからこそ今の自分があるんだから。

藤ヶ谷、待っていてくれ必ずお前の腕の中へ飛び込んで行く。

支えてくれた全員の想いをみやげとし━




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