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桜花楼の恋

第28章 番外編→第11章以降の話しになります

・千賀side

宏光には、あぁ言われたけれど俺やっぱり。



千「1つくらい内緒で神頼みしても大丈夫だよな」



見つからないよう、井戸の所まで来ると。

よし、まずは桶を持って。



千「あれ桶がない、おーい桶やぁーい」



すると「はいよぉーっ」と何処からか声が聞こえ。

んっ?



河「呼んだ」

千「へっ?」



何故だか、井戸の後ろからニョキっと顔を覗かせた河合の若旦那。

なんで?そう思っていたら。



河「ほれ、ニヤッ」

千「あぁーっ、桶」



手に持っているのを見て。



千「こっちへよこせ」

河「やーだね」

千「よこせってばぁ」

河「あっかんべぇ、キャハハハ」



とたん、井戸を挟み押し問答を繰り返してるうちに。



千「あっ」

河「およっ」

河千「うえぇー落ちるうぅ」



勢いあまってボッチャーン、2人して真っ逆さまに井戸の中。

ここ何処?

気がつくと見たこともない長い廊下があり、あげく両脇にある壁には。

きっ、木の柄!?

それも、時々風に吹かれているみたいに葉っぱが揺れているんだ。

“カァーッ、カァーッ”



千「うえっ、絵の中でカラスが飛んでるうぅ」



と、そのとき。



「わたぁ、どこぉ」



廊下の向こうから、誰か歩いて来るのが見えたんだけど。



玉「おっかしいなぁ、どこへ行っちゃったんだろ」



なっ、なんだ!?あの着物は。



玉「あれ昔の千賀に似ている」

千「似てるんじゃなくて俺は千賀健永だ」

玉「はっ?なにを言っているんだ面白いやつ」



つうか、こいつタマに…いやまさかぁ。



玉「それより、わたを知らない」

千「横尾さん?」

玉「そうって、えっ」

千「んっ?」

玉「‥‥‥」



妙な空気が流れ互いに見つめ合う、一瞬の沈黙それを破ったのは。



横「裕太、そんな所で何をやっているの?」



あっ、横尾さん?でも髪型が…



玉「なんか変なやつを見つけてさ」



それは夢だったのかもしれない、後になってそう思う。

だって、そこは見たこともない町だったんだから固い木に包まれた。

トントントン、壁や床を叩いても半端ないほど固い。



横「何やっているんだろうね」

玉「さぁ」



俺は這いずりながら、あっちこっちを叩きまくった。



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