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ヴァンパイアのCrazy Night

第2章 彷徨える客人

私は気味が悪くなって、暗闇の森の中を走り出す。

どこまでもどこまでも、いくら走ったって果てしなく木々が続く。

闇夜を照らす赤い満月は、そんな迷える私を嗤っているように見えた。

そしてコウモリたちは、走りいく私の上部をしきりに飛び回っている。

「おやおや、走ったら危ないよ。また思いも寄らない災難がキミに降り注ぐからね」

今度はどこか艶のある、愉快な響きを持った男声。

だがそんな男の警告さえ耳に入らず、私はただこの森の中を走り抜ける。

「どこにいる…?お前たちは一体どこに…!!」

動揺を隠そうともせず問いかけようとしたが、ピタッと、急ブレーキをかけたの如く私の足は止まる。

その刹那、完全に心中は恐怖の色に塗り潰される。瞳を大きく見開いて、口を半開きにする。そして一歩、また一歩と覚束ない足取りで後退りをする。

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