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ヴァンパイアのCrazy Night

第2章 彷徨える客人

「離れろ……」

怪異は離れない。

「離れろ……」

怪異は離れない。無心に、私を喰らっている。

「アァァ…」

一斉に、皮肉を噛み付いてきた。しかし、不思議と、痛みは感じなかった。

「おやおや…ゲームオーバー、かな」

「え〜!?もっと観たかったな〜」

「やっぱり、今回も外れだよ。はぁ…もういい。やめようぜ」

私は…

「期待してたんだけど…」

「仕方ないさ。このお嬢さんも、残念ながら…私達の望むものではない」

「価値のない餌なんて、要らないね」

「ひ弱な餌など、つまらない…」

私は…

「はぁ〜あ…まあ、この人は粘った方だよ。この人なら、乗り越えると思ったのに…残念だ。本当に、残念だよ」

「さようなら。精々、踠いて死んでよ」

生きる。

「離れろって…つってんだろうがぁぁぁぁ!!」

「え…?」

渾身の力を振り絞り、怪異共を突き飛ばす。刹那、奴らによって負わされた怪我の痛みに倒れそうになるが、グッと地を踏ん張る。

「はぁ…はぁ…っ、この、怪異共!!そんなに私が喰いたければ、喰えばいい!!ほら、掛かって来いよ!喰いたいんだろ?一匹残らず踏み潰してやるからさ!!」

挑発を投げ掛けると、怪異共は一斉に私に飛びかかってきた。

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