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暗闇の中、怪異の姿など見えないが、私は襲い掛かる気配を瞬時に察知し、怪異共をスルリと華麗に躱していく。

そして、惨めにも重なった怪異の山に登り、奴らを踏み潰す。

底部にいる怪異が、頂点に立つ私に襲い掛かるが、呆気なく私に踏み潰される。そしてまたも、さっきとは異なる一匹の怪異が私に手を伸ばすが、私は容赦なくその頭を踏んでやった。ふん、さっきの仕返しだ。

私は、頂点へよじ登ってくる怪異共を、定位置で踏み続ける。頂点で踏まれる怪異は私の台となり、段々と重なっていく。すると、怪異の山は、細長いタワーへと段々姿を変える。私は頂点にいる為、必然的に上方へ上がっていく。まるで原始的なエレベーターのようだ。

「いや、待て…ってなんだあれ！？」

「ちょっ…えぇ！？あっははは！そりゃあないよ！」

「マ、マジかよ…」

「まさか、怪異を利用するとはね…ははは、やられたよ。これは、見事な大番狂わせだ」

「俺達も、ある意味油断してたな…」

「怪異に勝る少女とは…そそられる。非常に興味深いね」

「これは大当たりなんじゃない？マスター」

「ああ。だが、油断は禁物だよ。私達も、お嬢さんもね…」

暗闇から、薄暗がりへと変わる。暗黒に染まった穴が、段々と姿を見せる。

怪異のエレベーターに乗り、そして、私は見事外界へと繋ぐ穴へ辿り着いた。穴の淵を掴み、体を起き上げる。よし、これでやっと、この地獄の穴から抜け出せる…