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ヴァンパイアのCrazy Night

第2章 彷徨える客人

私は、眼下にある大穴を、ただ黙然と眺めていた。

ゾンビのタワーは崩れ、怪異たちは穴底へ墜ちていった。そのせいで、穴の中では何が起きているかは分からない。

しかし、ただ女の呻き声だけが、穴の中でどよめいていた。

彼女の笑顔が頭に過って、崩れるように、力なく項垂れた。悔しさを噛みしめるように、拳をぎゅっと握りしめる。

悲しみが、ドッと荒波の如く押し寄せる。

「クッソォォォォッ!!」

悲痛な叫声は、森の奥深くまで木霊する。涙が、幾重にも頰を伝う。それを強引に袖で拭って、私は立ち上がる。そして、再びこの怪奇の森を駆け走る。

何処までも何処までも、いくら走ったって、果てしなく木々が続く。

「…ふふっ」

「ははっ…」

彷徨える私を哂う、謎の少年たち。

「さあ、ゴールはすぐそこだよ、お客さん」

言葉を投げかけてくる、謎の男。

こいつらもきっと、人ならざる怪奇なのだろうか…。

ふと天を仰げば、満月と目が合った。それは、不気味な程に紅く染まっている…。

心なしか、胸が騒めいた。

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