無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

しかし、

「っ！？」

女の手が、私の手を掴んだ。

「なっ…どうして！？」

女は僅かに、微笑する。

「アタシ…嫌ワレ者。ズット、人間ニ、怖ガラレテ、生キテキタ。皆、皆、アタシヲ見テ、逃ゲタ。愛サレタイ、ノニ…愛サレナイ。トテモ、悲シカッタ…。デモ、アナタハ、違ウ」

数が増えたのか、ゾンビにさらに引っぱられ、女までズルズルと引きずり込まれる。

「離せ！貴女まで墜ちるよ！」

「アナタハ、特別。特別ナ人…離サナイ。離シタク、ナイ！」

でも、限界だ。大勢のゾンビの力は強くて、二人とも、このままでは墜ちてしまう…。

「アナタノ言葉、嬉シカッタ…」

女は、綺麗に微笑んだ。その瞬間、彼女は渾身の力で私を引き上げ、その衝動で、彼女は穴へと墜ちてしまった。

数多のゾンビ達が、仰いでこちらへ手を伸ばしている。その中へと墜ちるのは、私を助けてくれた、怪異の女…。

「ま、待って！！」

手を差し伸ばすが、それは届かない。

仰向けに墜ちる彼女と、目が合う。

「アリガ、トウ…」

女の目に、透明な雫が零れ落ちた。