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辿り着いたのは、大きな館だった。

独りでに開かれた大門の前に立ち止まり、眼前の雄大な光景に、思わず圧倒される。

大きな館の上方には、満月が闇夜を灯し、赤き月影に照らされた薄暗い館は、なんとも不気味な雰囲気を醸し出している。さらに、館の正面では広大な庭園が広がり、中央部には豪奢な噴水、庭園のサイドには色とりどりの薔薇の花畑がある。

私は、まるで誘い込まれるように、館へと続く中央道を歩く。そして、噴水のほとりまで、辿り着いた。

目前にある噴水を、ただ漠然と眺めていると…

「よく来たね、お嬢さん」

突然、背後から男の声が聞こえてきた。それは、怪奇の森の中を彷徨う私を、見せ物のように笑っていた、あの男の声だった。

即座に振り返るが、誰もいない。

「やあ、お客さん」

「よく生きてこられたね！お客さん」

再び、背後から声がした。今度は、あの少年達の声だ。

即座に振り返るが、やはり誰もいない。