ヴァンパイアのCrazy Night
第1章 プロローグ
「値踏み…か。なるほど、それは確かに需要性がある。根性なしの腰抜けほど、つまらないものはないからね」
刺激に焦がれた館の住人たちは、招かれざる客人のついての会話に、花を咲かせる。
そして、彼らは長い螺旋階段を下り終えると、さらに歩を進めて玄関ホールへと辿り着く。
彼らは、大きな扉の前で足を止めると、領主はその取っ手にゆっくりと手を掛けた。
「とてもワクワクするね。まるで大冒険でも始まるような気分だ」
「大冒険なんかしないだろ…。でも、何でだろうな…今すごいゾクゾクしてる」
「あードキドキするね〜!とっても楽しみ!」
彼らは、和やかな笑顔を浮かべながら顔を見合わせる。
そして、希望に満ちた眼差しで、その大きな扉を見つめる。
「みんな、分かっているな?」
「あぁ…楽しい楽しいお遊びの始まりさ」
「うん、いっぱい可愛がってあげなきゃ!」
「そうさ、我々と森の仲間たちと共に、盛大に彷徨える客人をご案内しよう」
館の主は、ゆっくりと、扉を開けた。
そこで垣間見えるのは、
暗闇の中のーー
怪奇の森。
「さぁ、ゲームの始まりだよ。お客さん?」
館の住人たちは、一歩足を踏み出し、暗闇の森へと姿を消した。