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快盗プリキュア

第1章 チョコレートパニック with マジカルバレンタイン

2月。街がバレンタインカラーに染まる寒いけど暖かいロマンチックな季節である。

日向美空(ひなたみく)は大切な人に贈るチョコを作るためにクッキング教室に通い始めた。本命チョコを誰かにあげるのは人生初めてのことなのでドキドキしている。

美空はスポーツ万能でどんな競技もプロ級の実力を誇り、最近では伝説の戦士プリキュアの力を手に入れて危険な秘宝プレシャスを回収しているのだが、料理とかは大の苦手で、手にケガをしたりヤケドをしたりと散々である。それでも一生懸命にオリジナルチョコを作るのに悪戦苦闘している。

「あちゃ~、ケガしちゃったね。大丈夫?」と香澄が心配そうに美空のケガを手当てしてくれる。

香澄と美空はこの料理教室で出会ってすっかり意気投合して仲良くなっていた。
高校生の香澄は中学生の美空にとっては大人っぽくてお姉さん的な存在なのだが・・。

「よかったらあたしが代わりにチョコを作ろうか?」と絆創膏だらけの美空の手を見て心配そうに香澄が言う。

「ありがとう。でも大丈夫。このチョコは絶対に自分で作りたいんだ」と美空はファイティングポーズを決めてみせる。

「そっか。大切な人にあげるんだね」

「うん。世界で一番大切な人だから全力ファイトでオリジナルチョコを作るんだ」と美空は満面の笑顔を浮かべる。

「いいなぁ、そんな人がいて」

「香澄ちゃんだって大切な人にあげるんでしょ。チョコ作ってる香澄ちゃんは本当に幸せそうな顔をしてるよ」

美空に言われて香澄は顔を赤らめる。

「そんなんじゃないのよ。どうせチョコなんてひとつも貰えない哀れなヤツだから、幼馴染みのよしみで義理も義理な超義理な、義理チョコの中の義理チョコをめぐんであげるだけよ」

香澄はオーバーなリアクションで幼馴染みにあげるチョコが義理チョコだと主張する。そして話を続ける。

「大体アイツが愛するのは推理だけで、そんなに好きなら推理と結婚すれば~ってカンジで、一緒に出かければあたしまで事件に巻き込まれたりしてろくなことがないし、とんだ疫病神ってところなんだ・・」

香澄は顔を赤らめて延々とチョコを渡す相手の幼馴染みで高校生探偵をやってる涼介の悪口を語り続ける。チョコを作る時に幸せそうな顔をしてるって言われたけど、あんなヤツにあげるチョコを作るぐらいでノロケモードになってたなんて認めたくない。

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