
僕ら× 1st.
第5章 伊織の婚約者 --Shu
高等部の校舎は校庭をはさんだ中等部の目と鼻の先、といっても、滅多なことがなければ出入りする場所じゃない。
お子様が何の用?と、コワモテのお兄さんがたに囲まれるのが見てとれるから。
それでもアルと俺には、そんなの脅威でも何でもないけれど。
女のコの花野ちゃんは、そう言う意味では手をだされないだろうけど、違った意味で充分危なくない?
そう思いながら、砂煙を軽くあげるアルの背中を追っていたら、ヤツが急に止まったので、ぶつかりそうになった。
見ると、花野ちゃんが大きな荷物を抱えてこっちに歩いてくる……。
頭にサンタ帽をかぶり、肩に物がいっぱい詰まったカバンをかけ、でっかい靴下をぶらさげた両手にはトナカイのツノと思われるものが突きでた大きな袋……。
その姿は南半球で幸福を呼ぶというエケコ人形にうりふたつ……。
俺は、大笑いしてアルに小突かれた。
前方視界の悪い花野ちゃんは俺らに気づかず、素通りして行く。
「あの…花野ちゃん!」
突然呼びとめられ、びっくりした花野ちゃんは、「ぴゃっ」と小さく叫んで靴下を落とし、中身を校庭にぶちまけた……。
駄菓子や小さなヌイグルミ等が転がる。
「驚かせてごめんっ!俺、拾うから」
「すみませんっ……吉坂先パイ?ぅにゃー!」
自分も拾おうと身をかがめるが、もうひとつの靴下からも中身がこぼれて猫のような悲鳴をあげる。
お子様が何の用?と、コワモテのお兄さんがたに囲まれるのが見てとれるから。
それでもアルと俺には、そんなの脅威でも何でもないけれど。
女のコの花野ちゃんは、そう言う意味では手をだされないだろうけど、違った意味で充分危なくない?
そう思いながら、砂煙を軽くあげるアルの背中を追っていたら、ヤツが急に止まったので、ぶつかりそうになった。
見ると、花野ちゃんが大きな荷物を抱えてこっちに歩いてくる……。
頭にサンタ帽をかぶり、肩に物がいっぱい詰まったカバンをかけ、でっかい靴下をぶらさげた両手にはトナカイのツノと思われるものが突きでた大きな袋……。
その姿は南半球で幸福を呼ぶというエケコ人形にうりふたつ……。
俺は、大笑いしてアルに小突かれた。
前方視界の悪い花野ちゃんは俺らに気づかず、素通りして行く。
「あの…花野ちゃん!」
突然呼びとめられ、びっくりした花野ちゃんは、「ぴゃっ」と小さく叫んで靴下を落とし、中身を校庭にぶちまけた……。
駄菓子や小さなヌイグルミ等が転がる。
「驚かせてごめんっ!俺、拾うから」
「すみませんっ……吉坂先パイ?ぅにゃー!」
自分も拾おうと身をかがめるが、もうひとつの靴下からも中身がこぼれて猫のような悲鳴をあげる。
