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僕ら× 1st.

第6章 卒業まで --Ar,Mkt

柊先パイの協力もあり、今年に入って何回か音楽室に出入りしている先パイを見かける。

先パイ、がんばってね。

花野、できれば応えてあげてね……。

こっそり応援していたけれど、結局先パイは告白せずに卒業してしまうようで……。

校庭に出てきた先パイは、やっぱりカッコよくて、すぐに女生徒に取りかこまれる。
少し顔はこわばってはいるけど、おとなしくボタンを引きちぎられているみたい。

「お前ら、そんなもん取ってどうすんだよ?ほら、もう誰のかわかんねぇだろ?」

先パイの声が聞こえる…。

「第2ボタンは誰が奪ったのかな?って、ブレザーでも第2?」

あのなかにまざる気もなくて、ただ先パイの勇姿を見つめる。

「胸に近いんだったら、シャツの第3とか?」

と、先ほどの私の呟きに対しての返事があった。

「わっ!花野、いつの間に!」

運動神経の鈍いわりに、猫のように静かに歩くよね、あんたは…。

「ええっ?さっきからいたよ?」

先パイに近づかない私を心配してくれたということかな?

「アル先パイに挨拶に行こ!」

花野がいれば、アル先パイは私を見る。
群がる女を蹴散らせる。

なのに花野ったら、唇を軽く尖らせて。

「やだよ。あそこ危険」

んなこと言ってるし……。

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