
僕ら× 1st.
第9章 トリオ --Shu,Ior
それからすぐだった。
アルが異変に気づいたのは…。
2月下旬、窓の外は冷えた月夜。
リビングでの読書後、時計の短針が11をまわったのを確認してアルが立つ。
「親父のとこに行ってくる」
「俺も行くよ」
アルに続いて立ちあがる。
「俺も?」
本を置いて駆け寄ってくる伊織を、アルが追い払う。
「中坊は、もうおやすみ」
アルが伊織にキスを投げると、ヤツは頭をそらせて避けた。
そのまま伊織を残し、親父さんのいる別棟を目指す。
親父さんの部屋に着くまで、アルは一言も喋らなかった。
「親父、話がある」
ノックと同時にドアを開ける。
親父さんは、スーツにコートを羽織り、かたわらには四角いカバンが立ててあった。
その横で俺の父親も、同様の装備に身を包んでいた。
「俺にはない。去ね」
なかの2人は、ドアが開くと同時に侵入者に向けていた銃口をおろした。
「あのリストの人間、どこへ行ったんだ?」
ストレートに聞いて答える相手じゃねぇだろ…。
アルは、伊織の兵法を学んだほうがいいかもしれない。
「どこかだろ」
「女だけでなく、家族まで消えてんだ」
「そりゃ不思議だな」
何の感動もない言葉。
健気なアルをバカにするこいつが、現トップ。
絶対に逆らえねぇ。
「藤池渉、知らねぇか?俺のダチなんだ」
人のいい委員長を思いだす。
アルはあいつのおかげで、忘れられない進数解読をしたんだ。
そして、あの日に伊織のフィアンセが判明したんだったな…。
「お前らはいい仕事をしたよ。悪ぃな。今から発つ。柊、アルをよろしく」
それは、"アルを暴れさせるな"という意味。
「はい、失礼しました」
俺はアルの襟首をつかみ、無理矢理頭をさげさせて退室した。
アルが異変に気づいたのは…。
2月下旬、窓の外は冷えた月夜。
リビングでの読書後、時計の短針が11をまわったのを確認してアルが立つ。
「親父のとこに行ってくる」
「俺も行くよ」
アルに続いて立ちあがる。
「俺も?」
本を置いて駆け寄ってくる伊織を、アルが追い払う。
「中坊は、もうおやすみ」
アルが伊織にキスを投げると、ヤツは頭をそらせて避けた。
そのまま伊織を残し、親父さんのいる別棟を目指す。
親父さんの部屋に着くまで、アルは一言も喋らなかった。
「親父、話がある」
ノックと同時にドアを開ける。
親父さんは、スーツにコートを羽織り、かたわらには四角いカバンが立ててあった。
その横で俺の父親も、同様の装備に身を包んでいた。
「俺にはない。去ね」
なかの2人は、ドアが開くと同時に侵入者に向けていた銃口をおろした。
「あのリストの人間、どこへ行ったんだ?」
ストレートに聞いて答える相手じゃねぇだろ…。
アルは、伊織の兵法を学んだほうがいいかもしれない。
「どこかだろ」
「女だけでなく、家族まで消えてんだ」
「そりゃ不思議だな」
何の感動もない言葉。
健気なアルをバカにするこいつが、現トップ。
絶対に逆らえねぇ。
「藤池渉、知らねぇか?俺のダチなんだ」
人のいい委員長を思いだす。
アルはあいつのおかげで、忘れられない進数解読をしたんだ。
そして、あの日に伊織のフィアンセが判明したんだったな…。
「お前らはいい仕事をしたよ。悪ぃな。今から発つ。柊、アルをよろしく」
それは、"アルを暴れさせるな"という意味。
「はい、失礼しました」
俺はアルの襟首をつかみ、無理矢理頭をさげさせて退室した。
