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僕ら× 1st.

第9章 トリオ --Shu,Ior

「……あいつ、生きてると思うか?」

帰路でアルは寂しそうに俺に尋ねる。

生きているかもしれない。
でもそれは、……穏やかにいうならば、当人の望む生きかたではないと思う。

「アル、すまん。俺は何となくわかってた。あのリストのこと。でも、俺は…」

親父さんから依頼があった時点で、俺は気づいていたんだ。
平和なリストであるわけがないと。

でも、やるしかないと…。

「うん。お前は悪くねぇよ。これからもそうしろ。一番守りたいものを守ればいい」

アルは俺の肩に手をまわす。
"お前のことは俺が守ってやる"とでも言うように。

「ほぼ植物な女を俺は、優先したんだ……」

老いも若きも可能性が限りない集団より、ベッド上で意思を示さない彼女1人を。

「当然だ。お前の大切な彼女だ。柊、胸を張れ。お前は間違っていない」

きっと、世界中の人間が俺を非難し、罵詈雑言を浴びせるだろう。
だから、アル…お前の言葉で俺はどんなに救われたことか。

この先、何があろうとアルを支えようと、俺がついていくのはこの男だと、カタく誓った。

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