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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

俺からのラインを読んだであろう伊織は、手の甲を口元にギュッと押しつけてスマホ画面を暫く見ていた。
そして、俺を見る。

「照れまくってめっちゃくちゃ可愛いかったぞ?」

伊織の胸を軽く小突く。

「ホントに?」

喜びすぎて信じられないだろ?

「俺の彼女にしたくなった。やっぱその辺の女子と違うなぁ」

本音を言ってやった。
ちょっと面倒ではあるけれど、キスであんな恥ずかしがっている彼女。
自分だけに示されるその反応を、俺も噛み締めてみたい。

「嬉しい?」

「嬉しくないわけないだろ?お前が教えてくれたことも嬉しいよ」

素直に喜ぶ伊織の瞳が光る。
いや、泣くなよ?

「ていうかさ、マジで手ぇ出してなかったんだ?」

初日の夜に発した"俺、シてないよ?"が真実だったなんて。

「断られてさ。ま、確かにまだ早いかなって思ったし。しつこくしたら首切られそうだし」

慎重になるのはわかるけど、なりすぎでは?

「で、どうする?」

この様子だと、宮石はまた拒否するかもしれないけどね。

「そうだな……強引に奪ってみようかな」

「ははっ。卒倒されるかもよ?」

絶対にそんなことしないくせに。

「で、さっきは宮石に何してたの?」

「充電。冷たくされたら補給しなきゃだろ?お前が"逆だ"と言ってくれてたし…。くっついても逃げられなかったし。だけど、凹んでた。あんなにハッキリ"嫌"って言われて、もう終わりだと一瞬思ったよ…」

ああ、充電しながら様子を見てたわけだ。
宮石はちょっと引き気味ではあったけど、それでも進めるなんて、幼馴染み彼氏の特権だな。
けど、キスなし……よくわかんない関係だなぁ。

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