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僕ら× 1st.

第10章 修旅 --Khs,Ior,Mkt

「もうっ。先パイはそんなんじゃないから!伊織君がいない間、私のこと心配してくれただけだよ」

と布団から出て来て、今しがた震えたスマホに手を伸ばす。

ああ、花野の中ではそうなってるんだ。

先パイが本気で告白しても、やっぱり花野は速水を選ぶのかな?

「あ!ライン入ってる」

「速水から?」

「うん。50分ほど前に『電話待ってる』って……してみるね?」

50分前?
じゃ、さっきの着信は他の件かな?

でもそれって速水、花野に会おうと思ったんじゃない?
この部屋に来て花野といちゃつこうと考えたんじゃない?

「伊織君、元気?…今日は楽しかったね。じゃあ、おやすみ。……っ、あ、ありがと…」

「早っ!てか、聞こえた?」

花野のスマホ向こうの落ち着いた声。
康史に問いかける。

「ああ、聞こえた……。"花野、好きだよ"だって~!」

「嬉しいね~花野っ!」

「う、うん……」

再び花野は、赤い顔を布団で隠した。

「ねぇ、あんた。こんなに好かれてるんだから……今日言ったことわかってるわよね?」

「え?う、うーん………?」

布団の隙間からチラッと私を見る。

「速水のこと、すっごく好きなのねぇ」

「やだ、マコったら。ホントのこと言わないでっ!滝沢君に聞かれちゃうじゃない!」

身体を起こし、腕をクロスして"ばってん"を作る。

その様子を見ていた康史は、豪快に笑いだす。

「宮石って、面白いなぁ。俺、もっとおとなしいコかと思ってたよ」

でしょ?

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