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僕ら× 1st.

第11章 サマサイド --Ior,Thk

流れるプールに、花野が入った浮き輪を浮かべて、僕は脇につかまって進む。

「ちょうどいい日和だね」

「うん!」

水に濡れると、白いラッシュガードは透けて、花野の上半身にピタッと張りつく。

うわー、もろに見えるより、ヤバイかも……。

そんな僕に彼女はニコニコと話す。

「伊織君の水着姿、カッコいいね。男っぽい」

どういう意味だよ?僕はもともと男だよ。
それに、今は水に浸かってるし…。

「褒めてるの?」

「うん。褒めてるの」

そうなのか?
じゃあ、僕はこう言えばいいのか?

「花野も女っぽくて可愛いよ?」

真面目に言うとやらしくなりそうで僕は、立てた人差し指を、首と同時にピッと横にしておどけてみた。

「ふふー」

まあ、わからなくもないけど。
女のコに女っぽいは、合格だよな。
だけど、逆はビミョーに感じるのは僕だけか…?

「花野。"男っぽい"じゃなくて、"男らしい"ってことなんじゃない?」

「うん、それ!」

"うん、それ!"じゃないよ…。

きっとそこかしこに、こんなトラップが潜んでるんだろうな。
通常の細かい表現を自分の感覚でひとまとめにしてしまう理系女、気をつけねば……。

「きゃー」

流れていると、ふいに僕らは横からのシャワーを浴びる。

花野の髪に水滴がついて、うなじから雫がポタポタとこぼれ落ちる。
何て色っぽいんだろ……。

後ろから、抱き締めたい。
今日この後、花野と…………。

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