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僕ら× 1st.

第11章 サマサイド --Ior,Thk

***

お日柄良好な1週間後。
ビーチボールと浮き輪を用意してプールサイドで待つ間、そわそわと落ち着かない…。
花野の水着姿……御無沙汰で。

小学生までは一緒にプールに入ったこともあるけれど、中学生になり男女で体育の授業が別れてからは、一度もないから……。

そんな俺に水泳部滝沢が話しかけてくる。

「宮石って、何カップ?」

「は?」

いや、花野は水泳はおろかスポーツ分野で入賞したことは…と、考えたところで、この男の言いたいことがわかった。

「茉琴よりおっきいよな?速水がモミモミしてるから?」

小津は、僕と花野のことをこいつに喋ってないのか。

「お前は自分の彼女だけを見てろよ」

小津もいるんだから、花野を変な目で見るなよな?

「康史ー!」

ぶんぶんと手を振って、フリルのついたピンクのビキニを身につけた小津が駆けてくる。

「おっ、可愛いじゃん!」

花野は、小津の後方を心細そうに歩いてくる。
アップにした髪に、濃いめの水色ビキニ……。
ラッシュガードを羽織ってはいるけど、見慣れない白い太もも、チラッと見えるおヘソ、それだけで……。
僕の喉が鳴る。

「花野さん。可愛いすぎるんですけど?」

「えっ、やだ。見ないでくださいっ」

前をギュッと押さえて顔を反らす。

「宮石。それ脱いで、速水にサービスしてやれよ」

滝沢が花野のラッシュガードに注文をつけるもんだから。
花野は慌てて、チャックを上げた。

残念だけど、その方が僕も目のやり場に困らないし、滝沢にも見られないし。

ラッシュガードから覗く白い花のネックレスに満足しながら、花野の手をとる。

「ヨチヨチカップルは、ほっときましょ」

滝沢は早くも小津の腰に手を回している。

「じゃ、あとで」

2人を見送ると、僕と花野の水着デートが始まった。

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