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僕ら× 1st.

第1章 初期状態 --Ior,Shu

夢見心地で目覚めた朝。
何か、とても満たされた…僕の、瞬間…。

彼女が登場したと思うんだけど、どんな夢だったんだろう…。
また、見られるといいな。

そうして僕はベッドを出る。

…さて、と。
パンっと両頬をはさむように叩いて顔をあげる。

真新しい制服は少しサイズが大きいけれど、ピンと気が引きしまる。

僕:速水伊織は今日から中学生。

リビングに入ると、2つ年上の従兄の本條柊(シュウ)が朝食の乗ったトレイを渡してくれた。

僕が食べ終えたころ、柊兄と同い年の僕の兄:吉坂侑生(ユウ)通称アルが入ってくる。

「お前、また寝てねぇんだろ?」

柊兄の言うようにアル兄の目は閉じがちで、時折ぱちぱちとまばたきを繰返していた。

「深夜にデータがふっとんでさ、やっとリカバー」

僕がアル兄のテーブルを用意すると、お礼を唱えて食べだした。

その後、リビングに入ったのとは別のドアを開け、3人そろって長い通路を歩く。
アル兄は半分眠ってる。

「ここでいいよ。見送りなんてなくて」

「楽しみ?」

「そりゃね!」

僕は軽くギャロップして進む。

「お前でも浮かれるんだ」

奥の階段を上ってドアを開け、もうひとつ部屋を抜ける。

「定期とゴム持ってる?」

「痴漢されたら蹴りつぶせよ?」

兄貴たちは今日まで春休み。
僕は変人2人に見送られて玄関を出た。

ここは小さな一軒家。
小柴の表札がかかる、僕たち専用の隠し家。

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