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僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

殺風景……こいつには読書以外に趣味はないのか?といった部屋だった。

一般的な小学生男子の部屋って、サッカーボールが転がっていたり、漫画が積んであったりしない?
衣服も散乱していないし、ゴミ箱は溢れかえっていない…。

ま、アルの部屋も大概色気ねぇけどさ。

学校から帰って来て、この無機質な部屋にこもりながら、こいつは何をしてるんだ?

ノート片手の伊織はデスク前の椅子に、俺たちは新品のようにシワのないベッドに腰かけた。

「……このバルコニーに火をつけて、騒ぎになったところで乗り込んで…消防車と救急車を呼んで…公共を巻き込んで周知の事実にする…かな?いや、緊急車両は少し早目…2~3分前から呼んでおいた方がいいね。4階ならはしご車か…。できれば消防署まで行って既に他に出動していないか確認してからがいい。被害を最小限に」

と言って俺たちの顔を見つめた後、更に口を動かす。

「味方は2人…できれば3人欲しいな。見張りの交代で浮わついた時を狙って。消火を手伝うふりして姫の存在を明らかにし、救急に引き渡す」

何こいつ?
これだけの情報と僅かな時間で、すごいこと言いだしたよ……。

「ありがとう、考えてみるよ」

アルに頭を撫でられると、軍師はニコッと微笑んだ。

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