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僕ら× 1st.

第13章 ク"ニコ"ム --Shu

可愛い弟の部屋を後にした俺たちは、そのまま隣接するアルの部屋に移る。

壁には線と書きなぐられた英数字だらけの何かの設計図が貼られたアルの個室。
伊織とは違う意味で落ち着かねぇ部屋…。

ノートを前に、目を閉じたアルは半時ほど黙りこくった。

俺も先程の伊織案が可能か考える。
内密のうちに運び出せれば言うことないのだが、彩華さんを病院で診てもらうことさえできれば、あとは何とかなるか…。

何せ、本條のいうホームドクターってモグリ北迫だろ?
医師免許なんて持ってねぇだろ?

もともと散髪屋だろ?
ヘアカットは任せられても、医療現場で信用できるかよ?

いや、無資格で医者を語るヤツには、髪の毛1本だって切らせたくねぇっ。

「伊織を巻き込みたくない。あいつ、春休みには前の家に泊まり込むだろ?その間に実行しよう」

「なら、俺とお前と、大輔で…」

「だな」とアルは、伊織の計画を更に具体的になぞり出した。

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