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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

「この記事はともかく」と根岸は伊織を見下ろす。

「あー、したたか速水は俺をも操作できるからなぁ」

「え?俺は先生の言うこと真面目に率先して聞いてるでしょ?」

そんな伊織の腕を掴んだ根岸は、部屋の端へ連れ行く。

「お前、宮石に手を出さないって約束したのはどの口だ?」

「出してないよ…てか、この距離じゃ内緒話になんないよ。何疑われてんのか知らないけど、他で聞くから」

ひそひそ声はかえって耳によく響く。
際どい話題は出すなと言うように、伊織は根岸を牽制した。

伊織に何があったのかと心配する宮石と、何があったのかと期待する小津。
外野を気にしない竹崎は、先程の新聞をスマホカメラで撮影していた。

部屋を見回した根岸は「それもそうか」と、頷いてこう言った。

「…女子3名は先に帰りなさい。また連絡する」

え?俺は伊織と残る方?
女子退室後、尋ねる間もなく根岸は進める。

「俺はインクラインでのお前らを見てるんだからな?」

「ちょっと耳を舐めただけじゃないか」

あの写真撮影後、そんなことしてたのか。

「…今、持ち物検査してもいいんだぞ?」

根岸の話、やはりそういう方向か。
インクラインでは別行動だった俺は、2人の進行を見守った。

「ないし、買ったこともないし!」

「お前、生でヤってんのか?」

「は?本気で怒るぞ?新聞部に何吹き込まれたんだよ?」

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