
僕ら× 1st.
第14章 P波 --Khs,Ior
ギリッと小さな音がして、僕は顔を上げた。
その唇から赤い滴が垂れる。
「小柴さん!血が出てるよ!」
「ん?ああ。こんなくらい、いいんだ……」
言わない方が良かったのだろうか。
でも、この世界で真実を知らないことは、生命取りにも繋がる。
ティッシュで拭った後、話題を切り替えるように小柴さんは僕に説明する。
「今まで、俺の配下には要求されなかった。それは、ブレーントップの俺の判断だから。その一方で本條の部下たちは、それぞれが本條に差し出している。大輔にはいないけど…あいつは柊の下だからな」
そうか。
親父は、小柴さんと本條に。
小柴さんと本條は自分の配下に……と言うわけか。
「そしてここからが、お前にとって最悪だ。本條サイドから"柊にいるのに、伊織にいないのは不公平"という声があがっている」
不公平?
わからなくもないが。
「話があがったのは、お前の新聞記事が出まわった時だよ。けど、伊織は真面目で従順だし必要ないと抑えてた……」
あの新聞記事。
僕と花野を結びつけ、そして離していく。
そうか……利と害。
こんなこと、思いつかなかったよ……。
「お前、アル母の件で親父に噛みついただろ?あれで、親父が決定したんだ。お前に柊と同等以上の処遇を求めると。親父…特に本條はね、お前の利口さが怖いんだよ。益川もやられっぱなしじゃなかったみたいだしね」
その唇から赤い滴が垂れる。
「小柴さん!血が出てるよ!」
「ん?ああ。こんなくらい、いいんだ……」
言わない方が良かったのだろうか。
でも、この世界で真実を知らないことは、生命取りにも繋がる。
ティッシュで拭った後、話題を切り替えるように小柴さんは僕に説明する。
「今まで、俺の配下には要求されなかった。それは、ブレーントップの俺の判断だから。その一方で本條の部下たちは、それぞれが本條に差し出している。大輔にはいないけど…あいつは柊の下だからな」
そうか。
親父は、小柴さんと本條に。
小柴さんと本條は自分の配下に……と言うわけか。
「そしてここからが、お前にとって最悪だ。本條サイドから"柊にいるのに、伊織にいないのは不公平"という声があがっている」
不公平?
わからなくもないが。
「話があがったのは、お前の新聞記事が出まわった時だよ。けど、伊織は真面目で従順だし必要ないと抑えてた……」
あの新聞記事。
僕と花野を結びつけ、そして離していく。
そうか……利と害。
こんなこと、思いつかなかったよ……。
「お前、アル母の件で親父に噛みついただろ?あれで、親父が決定したんだ。お前に柊と同等以上の処遇を求めると。親父…特に本條はね、お前の利口さが怖いんだよ。益川もやられっぱなしじゃなかったみたいだしね」
