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「できなくてもやらされるよ。アルは当然直訴するだろう。でも通ると思うか？それにアルにはな、直接の人質はいないが全人質はアルの人質なんだ」

え？どういうこと？

「アルが親父に異論を唱えるならば、誰かの人質が消される。それをアルはよく知ってる。だから柊の彼女が捕らえられても、アルにもどうにもできないんだ」

何てこと……。
そんなことしたら、アル兄が恨まれるじゃないか！
アル兄に継がせたいんじゃないのか？

小柴さんは続ける。
このまま僕が花野を手放さなかったらどうなるかを。

「それでも、アルに無理と判断されたら更にヤバイことになる」

親父が出てくるということか…？
そんな俺の思考を読んだんだろう、彼は追加する。

「お前の彼女にアルが惚れてるなんて知られてみろ？お前は主の想い人に手を出す裏切者とされる。お前は彼女だけじゃなくブレーンの地位も落とすだろな。あと、

人質のいる柊にやらせる、かもな？」

柊兄……。
そんな、俺たちの絆を引き裂いてまで？

「カオスだろ……」

アル兄も柊兄も傷つけて、この家をどうしたいんだ？

「ヤツは他人に自分と違う精神があるということを理解できないんだ。恐怖こそが人を統治すると思っている」

もし人質に取られても、裏切らなければ被害はないと思っていた。
薬を使ってまで提出とか尋常じゃない。

トリックorトリート。
僕はとことん甘かったんだ…。