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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

「別れたら彼女には手出ししない?」

それで花野が救われるなら僕は……。

彼女とのフリの関係は、結果としてはよかったのかもしれない……。

「他の彼女を出せれば"良"、別れるだけなら"可"、こっそりつきあうは"不可"」

他の彼女?
そんなっ、花野を裏切るようなこと…。

そして、僕と別れた花野は?

「ねぇ、もしアル兄に彼女ができたらどうなるの?」

もし花野がアル兄とつきあうことになっても、親父は何もしないよね?

「ん?…アルに彼女ができたら親父は喜ぶだろな。ゲイと思ってるから。だからお前の彼女、ちょうどいいからあてがおうとしてるんだよ」

「…そんな噂まで親父の耳に入ってるの?」

「噂じゃない。あいつ、見合いパーティの挨拶で"女はいらねぇ"って豪語したんだ」

見合いパーティ?
…今年5月のある朝、スーツに身を包んでいた兄たちを思い出す。
あれは、そうだったのか。

我が娘を娶らそうと馳せ参じていた輩の前で、そんなこと言ったのか…。

「それで、誤解されてるの?」

政略結婚の大事な相手捜し。
蒼白になった親父、見たかったかも。

「ああ。男を好きでもいいが、子は作れと。そのうちお前にも縁談がくるよ…」

「僕の彼女を人質にとっておいて?ふざけすぎ」

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