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僕ら× 1st.

第16章 Lost --Khs,Ior,Kn

それから残りの授業3時間はいつの間にか過ぎて。
もう帰る時間。

そうだ私、伊織君にチョコを持ってきたんだ。
今更渡しても、もう伊織君に私の気持ちは届かない。

でも、受け取ってもらえたら、それでいいのかもしれない。
チョコに添えた言葉をどうとらえるかは伊織君次第。

私たちは、つきあっているふりだから、こんなことフツーのフツー。
伊織君が他のコとつきあっても、私が文句を言う権利なんてない。

今現在、悲しいのは錯覚!イリュージョン!

だって私は、伊織君と家族でいられる、ね?
できの悪い妹でいられるよ、ね?

でも、できることなら時間を今朝に戻したい。

私、伊織君と正式におつきあいしたかった!

あのコより早く伊織君に打ち明けていれば、こんなことにならなかったのかな?

どんなコなのか知らないけど、これから伊織君と仲良く歩いている姿を見なくちゃならなくなるのかな?

吉坂先パイを応援したいと言ったマコ、強いね。
私も、そんなカッコいい女性になりたいっ。

なれるかな?なるべきよね?ならなくちゃ!

to be三段活用(花野作)、打ち上げ5秒前!
4、3、、、……。

"ずっきゅーんっ"と人差し指を1本立てて天に伸ばす。

「……花野、何してるの?」

「え?」

気がつけば、私の右手は打ち上げられて……。

伊織君が私の指先を見つめていた。

つきあってるふりで一緒に帰るから迎えに来てくれたのね。

何て、寂しい関係なんだろ……。

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