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僕ら× 1st.

第16章 Lost --Khs,Ior,Kn

伊織君と並んで歩いた道をひとりで辿る。
私の家に続く道。
いつもと同じ風景。

その中に溶け込む私も大して変わらない。

心には大きな穴が空いたように思えるけど、未だ広がり続ける宇宙からすれば、どうってことない変化。
137億年のうちのほんの一瞬の痛み。
ちっぽけな私の中だけで終わる。
こんなことで腐っちゃうなんて勿体ない。

To be or not to be.
そう、心持ち次第。

大嵐もいい天気だと、先パイから学んだじゃない。

明日から暫くは試験休み。
たまに午前中にHRと授業があるだけ。
そして、私たちは卒業する。

あのコは年下だから、当分は伊織君とのシーンを見なくて済むはずよ。

だから高校生になっても大丈夫。

次会う時は、まんまる笑顔の妹になろう。

何でもない、何でもない。
彼は私の運命の人ではなかったの。

だって彼は私の双子のお兄ちゃん。

昨年2学期の屋上で、既に私はフラレていたの。
あんなに困らせたのに、優しい彼は私の想いをくんでつきあうフリをしてくれたの。
幸せな夢を見せてくれたのよ。

どこかで何かがねじれている。

あなたの知っている伊織君はそんな人?

考えたって、現実は……。
悲しいだけ、深追いはしないでおこう。

ほら、笑顔で「ただいま」。

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