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僕ら× 1st.

第19章 雲の上 --Tk,R

***

7月、これから生活する地へ飛んだ。
リィ兄とともに。

「リィ兄ってこれまでどっかで働いてたの?で、小柴の父さんに声をかけられた?」

鍵を開けて中に入り、話し出そうとすると、「うーん」と濁しながら人指し指を口につけた。
部屋のあちこちを覗いて調べている。
ソケットなんて特に念入りに。

「……」

"何をしてるの?"と尋ねることもできず、俺は荷物をほどきはじめた。

2LDKの室内を一回りしてきた兄貴がやっと口を開く。

「ん。そんなとこ」

俺と同じように支援してもらってるのかな?
でも兄貴は"父さん"ではなく"小柴さん"と呼ぶんだよな…。

で、さっきの行動は何?

「新しく電化製品とか入れるときは俺に見せろよ?盗聴器やカメラ等ついてないか確認するから」

そんなの調べてたの。
変に慎重だな…。
俺たちみたいな男を盗聴盗撮してどうするんだよ?としか思わなかった。

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