
僕ら× 1st.
第19章 雲の上 --Tk,R
小降りになりかけたところで小柴さんのクルマは図書館駐車場前を素通りし、回遊始める。
「いたな…、どうする?」
柊兄が運転するクルマが図書館駐車場に停まっていた…。
特徴のない黒いクルマだけど、ナンバーを確認したから間違いない。
てことは、兄貴が彼女の傍にいるってことだ。
「今日は無理だね。クルマ、出してもらったのに、すみません」
大丈夫だとは思うけど、2人にバレるわけにいかない。
アル兄は俺にライバル心むき出しだし。
そんな中で彼女に接近し、火花を散らすつもりはない。
「残念だな…。経つ前に、もう一度会えるといいな」
「うん……」
さっき、図書館沿いの道を歩いている彼女は見かけたんだけどね。
顔は見えなかったけれど、彼女の雨具は伊織がプレゼントしたんだもの、すぐにわかる。
あんなことがあってもまだ、彼女は伊織の物を使ってくれている。
買い換えることなんて容易いだろうに。
彼女がちょっと甘えれば、兄貴が買い揃えてくれるだろうに。
でも、会いたかったな……。
これ以上ないくらいの好意を彼女から貰っているというのに、よりもっともっとを要求してしまう。
貰っているからこそ、なのかもしれないな…。
助手席のシートに深く身体を預け、左胸に手を当てて大きく息を吐いた。
「いたな…、どうする?」
柊兄が運転するクルマが図書館駐車場に停まっていた…。
特徴のない黒いクルマだけど、ナンバーを確認したから間違いない。
てことは、兄貴が彼女の傍にいるってことだ。
「今日は無理だね。クルマ、出してもらったのに、すみません」
大丈夫だとは思うけど、2人にバレるわけにいかない。
アル兄は俺にライバル心むき出しだし。
そんな中で彼女に接近し、火花を散らすつもりはない。
「残念だな…。経つ前に、もう一度会えるといいな」
「うん……」
さっき、図書館沿いの道を歩いている彼女は見かけたんだけどね。
顔は見えなかったけれど、彼女の雨具は伊織がプレゼントしたんだもの、すぐにわかる。
あんなことがあってもまだ、彼女は伊織の物を使ってくれている。
買い換えることなんて容易いだろうに。
彼女がちょっと甘えれば、兄貴が買い揃えてくれるだろうに。
でも、会いたかったな……。
これ以上ないくらいの好意を彼女から貰っているというのに、よりもっともっとを要求してしまう。
貰っているからこそ、なのかもしれないな…。
助手席のシートに深く身体を預け、左胸に手を当てて大きく息を吐いた。
